福岡を舞台に作られた映画・小説

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福岡には福岡を舞台とした映画やドラマ、小説などがたくさんあります。ロケ地に使用されることも多いです。そんな福岡を舞台にした映画などは主にどんな作品があるのでしょうか。紹介させて頂きたいと思います。

福岡を舞台に作られた映画

巫女っちゃけん

2017年公開。監督:グ・スーヨン、主演:広瀬アリス。出演:山口太幹 / 仁村紗和 / 山崎萌香 / 川津明日香 / MEGUMI / 飯島直子(特別出演) / リリー・フランキー

《あらすじ》
しわす(広瀬アリス)は現在就職活動中。父親(リリー・フランキー)が宮司をしている神社で巫女のバイトをしている。就職が決まったら巫女を辞める言いながらも、特にやりたいことや夢があるわけではない。

しかも、子供のころに母親(飯島直子)が出て行ったことがトラウマで父親に反発を繰り返していた。

そんな時、神社でボヤ騒ぎが起きたり、賽銭や食べ物が盗まれる事件が発生する。しわすが犯人を捕まえるため、夜中の境内の見回りをしていると、杜殿に隠れている5歳の少年、健太(山口太幹)を見つける。話すことができない健太。しばらくの間、神社で面倒を見ることになる。

そんなある日、母親の美和(MEGUMI)が健太を迎えに来るが、数日後再び境内に隠れている健太が発見される。顔には殴られたアザが・・・。

児童相談所の相談員を交えた話し合いの席で、誰に殴られたのかを聞かれた健太はしわすを指さす。警察も動き出すことになり、疑惑の目で見られるしわすが最後に取った行動とは・・・。

《みどころ》
この映画は年に2回だけ現れる絶景『光の道』で有名な、福岡県福津市の宮地嶽神社を舞台に繰り広げられる映画です。

撮影も神社をはじめとする福津市内で行われました。今回主演の広瀬アリスさんが演じたしわすは、自分がなにをやりたいのか、どう生きていきたいのかわからない。

そんな未来に夢も希望も持てない今の若い世代の象徴的な役です。

クランクインの1週間前から現場に入り、巫女の所作や舞い、装束の着方や髪を皆で並んで前の人の髪を結ぶことも覚えたが、本編では今まで習ったことは一切しないで下さいと指示があり、いい意味で巫女の世界観、空気感をぶっ壊した作品になっている。

なつやすみの巨匠

2015年公開。監督:、主演:野上天翔。出演:博多華丸 / 国生さゆり / 村重マリア/ 板谷由夏 / リリー・フランキー / 落合モトキ

《あらすじ》
能古島に住む小学4年生、シュン(野上天翔)。夏休みに入り暇を持て余していたシュンはかつて映画研究部員だった父親の和由(博多華丸)から古びたビデオカメラを貰う。

武骨なデザインが気に入ったシュンはすっかりカメラの虜に。もともと父親の影響で80~90年代のハリウッド映画が大好きだったシュンは親友のノブ、タケちゃんと共に映画撮影の真似事に熱中するのだった。しかし周囲には野暮ったい連中ばかり、どうも画にならない。

そんなある日、島在住の画伯・智滋が1人の少女を連れて島へ戻ってくる。亜麻色の髪、鳶色の瞳。どこから見ても映画に出てくるような外人そのものだった。

少女の名前はユイ(村重マリア)、ブラジル人の父と日本人の母を持つハーフで生まれも育ちも福岡。日本語しか話せない。

ユイは訳あって夏休みの間だけ祖父の智滋の家に預けられたのだった。シュンは智滋の家からユイを強引に連れ出す。そしてこれが一目惚れであることがバレないよう、もっともらしく言うのだった。

「俺、監督やけん。お前ばスカウトしたと。わかるや?――お前ば女優にしちゃる!」「はあ?バカやないと?」シュンとユイの奇妙な関係が始まった—―。

《みどころ》

この映画は「Made in Fukuoka」福岡市全面協力によるオール福岡ロケ作品。出演者ももちろん福岡の子供たち、福岡出身の豪華キャストばかりと、地元にこだわったキャスティングです。

映画内で交わされる博多弁は自然ななまりや言い回しと、博多弁ならではの温かさなども感じ取ることのできる仕上がりです。

主題歌も井上陽水さんの『能古島の片想い』という1972年発売の2ndアルバム『陽水Ⅱセンチメンタル』のみに収録されている幻の名曲を起用し、福岡にとことんこだわった映画です。

はなちゃんのみそ汁

2015年公開。監督:阿久根知昭、主演:広末涼子。出演:滝藤賢一 / 赤松えみな /一青窈

《あらすじ》
恋人の新聞記者・信吾(滝藤賢一)と幸せな毎日を送っていた音大生の千恵(広末涼子)。結婚して、子供を産んで、家族が増えて、幸せな道がどこまでも続いているかに見えた矢先、千恵が乳がんであることを宣告されてしまう。

不安や恐怖に押しつぶされそうになる千恵に、信吾は彼女を支える決意をもってプロポーズをする。そして2人はめでたく夫婦になるのであった。

結婚後、がんとの闘病生活が始まる。抗がん剤治療の副作用によって卵巣機能が低下していることもあり、二人は子供を授かることを諦めていた。しかしそんな中で、千恵のお腹に赤ちゃんがいることが発覚する。

子供を産むということはがんの再発リスクを高め、自分自身を危険にさらすことになる。それでも千恵は周りに支えられ、勇気づけられることで悩んだ末に産むことを決意する。無事に生まれてきた赤ちゃんは女の子。『はな』と名付けられた。

はなを出産後、家族3人の幸せな日々が始まる。しかし幸せな日々は続かなかった。千恵のがんが再発し、余命は長くはなかった・・・。

自分がはなに伝えられることは何だろう。余命の残されていない千恵は、はなが自分がいなくても生きていけるようにと、料理や家族の大切さを教え始める――。

《みどころ》
この作品は福岡に住む安武さん家族の実話が映画化されました。千恵さんが家族との闘病記を綴ったブログからはじまり、エッセイや関連書籍、24時間テレビでのドラマ化など大きな社会現象になりました。余命の限られた千恵さんの前向きに生きる姿、家族への愛、はなちゃんへの教えは現代に生きるすべての人たちに大切なことを教えてくれます。

紹介した3作品以外にも福岡が舞台や撮影地になった映画はたくさんあります。

東京タワー

~オカンとボクと、時々、オトン~ 2007年公開。監督:松岡錠司、主演:オダギリジョー。出演:樹木希林 / 内田也哉子 / 小林薫 / 松たかこ

福岡出身のリリー・フランキーの自伝小説が映画化。幼いころリリー・フランキーが過ごしたのは福岡県筑豊地方の炭鉱住宅ということで作品は福岡から始まります。

デメキン

2017年公開。監督:山口義高、主演:健太郎。出演:山田裕貴/柳俊太郎/今田美桜/高橋里恩/田中偉登

お笑い芸人のバットボーイズ佐田正樹の実話を基にした映画です。いじめられっ子だった佐田が福岡の伝説の暴走族の総長に上り詰めた壮絶な日々を実写化した作品は、漫画などでは味わえなかった不良独自の世界観などが大迫力で伝わってきます。

嫌われ松子の一生

2006年公開。監督:中島哲也、主演:中谷美紀。出演:瑛太 / 柴咲コウ / 伊勢谷友介 / キムラ緑子 / 片平なぎさ

川尻笙(瑛太)が叔母である松子(中谷美紀)が殺されたことをきっかけに、叔母の周囲にいた奇妙な人たちに出会い松子の一生を振り返る作品です。

教師として生計を立てていた松子が教え子の罪を被り、教師を退職したことで人生が転落していく一生の中で、罪を犯し東京に逃亡するまでは福岡の歓楽街、中洲で働くシーンなどがあったり福岡を舞台に壮絶な半生が描かれています。

悪人

2010年公開。監督:李相目、主演:妻夫木聡。出演:深津絵里 / 岡田将生 / 満島ひかり

殺人を起こした孤独な男と共に逃避行に及ぶ女との狂おしい愛を描いた作品。作品は主に福岡・長崎・佐賀を舞台に繰り広げられます。

実際の撮影も各県で行われ、福岡でのシーンでは東公園、渡辺通り、けやき通り、複数の飲食店など様々な所で撮影が行われています。特にけやき通りでの撮影シーンは大迫力なシーンになっています。

君の膵臓を食べたい

2017年公開。監督:。主演:北村匠海(僕役)、浜辺美波。出演:小栗旬(現在の僕役) /
北川景子(現在の恭子役) / 大友花恋(恭子役)

キミスイとも呼ばれ社会現象にもなったこの映画。

12年の時を越えて桜良から届く本当の想いを豪華キャストで描いた作品です。

映画の中で、初めて主演の二人が遠出するシーンで福岡を訪れます。太宰府天満宮では身近な人の幸せや健康を祈るシーンがあります。また宿泊先となるヒルトン福岡シーホークでは2人の関係にとって大きなきっかけとなる「真実と挑戦」というゲームを行うなど、福岡での撮影は作品中で大きな役割を果たします。

福岡を舞台に作られた小説

右岸

著・辻仁成

主人公祖父江九の壮絶な一生を描いた小説です。あることをきっかけに超能力に目覚めた九が超能力に翻弄されながらも必死に生き、人生の成功も転落もどん底も全てを経験する長編作品。ヒロイン役ともいえる女性目線からの小説左岸も別の著者から発売されており、読み応えのある作品です。博多の歓楽街・中洲に九が出入りするなど主に福岡市博多区が舞台になっています。

蒸発

~ある愛の終わり~ 著・夏樹静子

満席で飛び立ったジェット機内から1人の女性が消えた――。新聞記者である主人公は消えた女性の謎を追って女性の故郷・福岡へ。そこで主人公は女性がかつて愛していた男性の失踪、殺人事件に遭遇する。失踪した女性に対して深まりゆく謎、失踪の真実を追う長編小説です。

逃亡くそたわけ

著・絲山明子

軽い気持ちでした自殺未遂がばれて入院させられた主人公はなちゃん21歳。21歳の夏は一度しかこない――。と病院を逃げ出すことにした。逃げるのに思いつきで顔見知りのなごやんを誘う。東へ、西へおんぼろ車で九州の田舎町を駆け抜ける2人の暑い夏の物語です。はなたちが入院していたのは姪浜の病院。ここから2人の九州横断の逃亡劇がはじまります。

半島を出よ

著・村上龍

2011年日本の失業率は10%を超えアメリカに見放され経済的に孤立状態であった。そこに9人の北朝鮮コマンドが福岡に潜入し、プロ野球開幕戦が行われている福岡ドームを占拠する。

2時間後には約500名の特殊部隊、10日後には12万人の兵士が日本に上陸すると宣言された日本は彼らの占拠を許さざるを得なかった。そんな中で立ち上がったのは社会に見捨てられ、また自らも社会を見捨てた異端児たちだった—―。

この作品は福岡市にある福岡ソフトバンクホークスの本拠地・福岡ドームを舞台に繰り広げられる近未来型小説です。様々な視点から描かれた物語は話のダイナミックさに負けないほどの説得力のある作品に仕上がっています。

もしも、私があなただったら

著・白石一文

誰もが知る大手企業を退職し故郷の博多に戻ってきた男性の大人の恋の物語です。主人公は大名でバーを営みはじめます。天神などとは一味違い、大人の雰囲気漂う街・大名で甘く切ない大人のビターな恋が繰り広げられます。

まとめ

今回紹介した映画は福岡での実話や、福岡出身の有名人の方の自伝、福岡を舞台に繰り広げられる様々なストーリーなどは福岡の地元民が見ると「あ、ここ知っている」などと親近感が湧く場所や、他県の方から見ても福岡の情景や人の温かみなどを感じ取ってもらえる作品が多いのではないかなと思います。

また福岡出身の俳優さんや女優さんが実際に映画に出演することで博多弁がとても自然に使われていたり、地元への愛情を感じ取ることのできる作品に仕上がっています。